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9月16日(日) 人間の 業の深さと 救いとを 田宮描ける 「足摺岬」

 「四国人間論ゼミ」の日。テーマは、「田宮虎彦著『足摺岬』を読む」。
 田宮は、1911年生まれ。昭和期の小説家。父も母も高知県の出身であったから、幼少・少年時代、その両親のそれぞれの里で暮らした時期があった。また、青年時代を戦争の中で過ごしたことから、激動の時代の中で運命に翻弄される人々の絶望感とそれに苦悩する魂を描いた作家であると評されることが多い。

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 今回取り上げた「足摺岬」は、彼の少し長めの短編小説。映画にもなったそうである。主人公である青年が、自殺をするために足摺岬を訪れるのであるが、そこで出会う、お遍路さん、薬売り、宿屋の女将と娘、などとの交流の中で、自分が生きる道を見出し始める。そして、その宿屋の娘と結ばれて、東京で生活を始めるが、戦後の貧困の中で妻を亡くす。その妻の墓参りに足摺岬に戻ってみると、その妻の弟が、特攻隊帰りなのであるが、すっかり身を持ち崩していて、酒浸りになってしまっているといったあらすじ。
 人生というものは、どこまで行っても、悪い因果が巡り続けていて、そこからとても抜け出すことができないものだという、人間の業の深さを描き出した小説といえそうである。しかし同時に、その足摺岬を舞台に、救いを求め、それを見出して行く人の姿も描かれている。その舞台がなぜ足摺岬であったのか、これからも考え続けてみたいテーマである。

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