6月30日(土) 潜伏したる キリシタンらの 遺跡群 “秘すれば花”の 教えに背けり
バーレーンで開催中のユネスコ第42回世界遺産委員会で、日本政府が提案していた、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録が正式に決定。「2世紀以上にわたる禁教下で信仰を継続した独特の宗教的伝統を物語る、他に類を見ない証拠」と高く評価され、12の構成資産のすべてが認定されたという。
この認定に向けて努力してこられた皆さんに心からの祝意を表したいと思うが、それでも、割り切れない思いを禁じ得ないのも事実。それは、幕府からの厳しい取り締まりに対して、潜伏せざるを得なかったキリシタンたちの「秘する思い」を、世界遺産という形で強い日差しのあたる場所に引き出すことが、本当に好ましいことかという気持ちがあるからだ。「秘すれば花」であり、「秘せずば花ならず」とは、世阿弥が著した『風姿花伝』の言葉。
かつて信仰に生きた隠れキリシタンは、あまりのまぶしさに驚いているのではないか。
| 固定リンク